新宿区、新宿区医師会、新宿区内災害拠点病院では「新宿区災害医療研修会」を定期的に開催しています。行政-医師会-病院がこのように緊密に協力し災害準備をしている地域は実はそれほどありません。
今回、2019年6月8日(土)に行われた研修会のプログラムは、発災から72時間以内における医療者の行動の流れ、避難と医療救護所の概要、1次トリアージ(START法)、2次トリアージ(PAT)の講義とワークショップ(実技)、応急処置を学ぶものでした。ここに本学医学科、看護学科の学生さん計7名が開催側ボランティアとして参加しました。
◆救急?災害医学分野 織田 順 主任教授のコメント
前回の研修会と比べて研修受講者がぐっと増えたため、学生さん達の参加は大変感謝されました。特に傷病者役としての打ち合わせやワークショップ本番では、実力を発揮してくれました。
2回目の参加となった2名の学生さんは前回得たノウハウを活かしてさらに活躍してくれて、研修会スタッフの中でもちょっとした"顔"になりつつあり、大変誇らしく思いました。学生さん達自身も研修内容をどんどん吸収してくれている様子も頼もしかったです。いざというときに活かしてもらいたいと思いました。本研修会はこれからも年2回程度定期的に開催される予定です。東京オリンピック?パラリンピックも近づき、ますます準備に熱が入るものと思われます。次回以降もぜひ多くの学生さんに参加してもらえればと思います。
左:トリアージの様子 / 右:参加学生と織田主任教授
◆参加学生からのコメント
<医学科生(第5学年)>
この度、初めて災害医療研修会プログラムに参加させていただきました。救急分野に興味があり、災害時には医療者としてどのように接するのか気になっていたので、とても良い機会でした。
学生は、主に1次トリアージの患者役として関わりました。トリアージタッグによる1次トリアージの現場を体験することができ、たった1分という短い時間にタッグの色を決める難しさを改めて感じました。
災害現場では、同じ被災者であったとしても、トリアージや応急処置など医師としての役割が重要になります。このような研修会を通して、いざという時にどのように行動すればよいのか、他職種の方とも話し合ったり考えたりする必要があることがわかりました。学生のうちから、このような場にボランティアとして参加でき、先生方の考えを目の当たりにし、将来自分ならどうするか、考えるヒントとなりました。また、学生としてどのように関われるのかも同時に考える良い機会となりました。
<看護学科生(第4学年)>
新宿区災害医療研究会のボランティアでは、学生は1次トリアージと2次トリアージの傷病者役を担当しました。災害時は、人的?物的ともに医療資源が限られるので、治療の優先度を決めなければなりません。そのためにトリアージが必要になります。
本学看護学科では、3年生の災害の科目でトリアージを学びます。トリアージの方法の知識と技術があれば学生でもできる、ということです。今回のプログラムには医師や看護師、薬剤師、その他にも区職員などさまざまな職種の方がいらっしゃいました。薬剤師や区職員のように日常の業務で呼吸?循環?意識を確認することはなくても、日頃から練習しておくことで、いざというときに基礎的な1次トリアージをすることができます。そうすれば、医師や看護師はより医療的な2次トリアージを行い、傷病者にすぐに治療を提供することができます。医療従事者であっても1次トリアージにおいて、たった1分でタッグの色を判断するのには練習が必要です。平常時の訓練がとても重要であると実感しました。
また、講義ではフェーズ(段階?局面)によって、被災者や被災現場でのニーズが変化していくことを学びました。それぞれの職種が、専門分野でリードしながら協力して対応することが必要であり、ここでも平常時に発災から各フェーズを想定して対策しておくことが重要だと学びました。
将来、医療職者として、災害の現場では対応する側となりうる私たちにとって、実際の医療職者の対応をみながら学ぶことができるこのボランティアは、とても良い機会になりました。