この度、学長に就任いたしました。本学は百年以上の歴史ある医科大学として、これまで多くの医療人を輩出してきました。日々献身的に患者に奉仕をする医師、看護師は崇高な職業であり、私は「社会の財産」であると常々考えてまいりました。医療と福祉に貢献する「人財育成」という大きな意義ある事業に、本学の教職員の誰もが参画しています。この価値を共有し、力を合わせて誇り高く取り組んでまいりたいと思います。本学の使命を誠実に実行していくことは、個々のウェルビーイングにつながるはずです。

　私は「教育」こそが大学機能の原点であると信じます。大学病院は、先進医療を推進することの重要性を若い医師、看護師、そして学生達が体感し、「患者中心の医療」「医療安全」を学ぶ教育現場でもあります。そして、先端研究を行う研究室は、若い研究者や学生達が生命科学の深淵に触れ、研究の醍醐味を実感し、研究倫理の重要性を学ぶ教育の場として機能する必要があります。すなわち、「臨床」「研究」「教育」の本学のあらゆる活動には常に「学修者の視点」が求められています。

　中国体彩网のビジョンである「多様性、国際性、人間性に支えられた最高水準の医学大学」の実現に向けて、健全なガバナンスの下で、本学の将来構想と中長期計画に沿った大学機関の高度化を推進します。さらに、「内部質保証制度」に則った大学運営を行い、医学科、看護学科、研究科を含む各部門でPDCAサイクルを適切に機能させることで、これら計画を着実に実行し、激しい社会変化に柔軟かつ適切に対応する組織運営を行い、持続的な発展に繋げてまいります。そのためにも、私達、教職員一人ひとりにおいてもPDCAを回し、「今日より明日へ」と成長する弛まぬ自己研鑽の姿勢を学生達の模範となるよう示してまいりましょう。

　本学のミッションにあるように「思いやりの心をもって患者の人生に寄り添える医療人」を育てるためには、大学組織?キャンパス内は、多様性を尊重し、思いやりと優しさに満ちた環境でなければなりません。学生一人ひとりを大切にし、また、学生達には学友を大切にして助け合う「互助の精神」を涵養していきたいと思います。本学の三つの附属病院の特色を活かした医学教育を実践し、併せて地域の医療機関や在宅診療機関の協力を仰ぎ、これらを教育リソースとして最大限に活用させていただくことで、人間教育、多職種連携教育から総合的診療能力の修得まで、一貫した「実習中心の全人的医学教育カリキュラム」の構築を目指します。また、国際社会で活躍する人材と次世代のリーダー育成のためにも、国際交流をより活発化し、世界トップクラスの医療機関、研究機関への国外留学を大学あげて支援していきたいと思います。

　本学のミッションを全教職員で誠実かつ強力に実践し、「学生と教育をどこの大学よりも大切にする医科大学」という自負のもとで、社会に開かれた「医学教育の最高峰」を目指してまいります。

中国体彩网 学長
宮澤　啓介