2022/06/20
医学科 研究活動

本学医学科第6学年 金澤優太さんが、『精細管内を流れる精子の分布と動きの可視化』に関する英文原著論文を発表し、学長賞を受賞

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賞状を手にする金澤 優太さん(右)と指導にあたった人体構造学分野表原拓也講師(左)

 2022年5月18日(水)に開催された医学科教授会において、林 由起子学長より医学科第6学年 金澤 優太さんに『学長賞(※1)』が授与されました。本賞は、金澤さんが第2学年の頃から取り組んできた(※2)研究成果を英語原著論文として発表したことを讃え、今後の更なる活躍を期待するものです。

 発表した論文は『Three-dimensional analysis and in vivo imaging for sperm release and transport in the murine seminiferous tubule. Reproduction 164(1):9-18. 2022. DOI: 10.1530/REP-21-0400』であり、プレスリリースを配信しております。本論文では、立体再構築や生体内イメージングの手法を利用して、精巣の精細管内における精子の流れ方や、精細管壁からの精子の遊離機構を明らかにしました。今後、精細管の動きに着目した新たな研究分野の開拓に繋がることが期待されます。

プレスリリースはこちら>>(2022年6月15日)


「精細管内を流れる精子の分布ならびに精細管壁の動きを可視化 ~精細管を精路として捉える新たな研究分野の開拓に期待~」
<人体構造学分野 表原 拓也講師、医学科第6学年 金澤 優太、金沢大学 仲田 浩規講師(現:公立小松大学保健医療学部臨床工学科 教授)、京都大学 平島 剛志特定准教授(現:シンガポール国立大学 助教授)らの研究グループ>

人体構造学分野 表原拓也 講師のコメント
 本論文において、金澤さんはすべての画像解析を担当し、実に34,668個の精細管断面を観察?記録しました。コロナ禍や臨床実習などで研究のための時間が思うように取れなかったと思いますが、大学でしかできないことと自宅でできることをうまく分けて効率良く解析?論文執筆を進めました。論文投稿の際には2人の査読者から計48個ものコメントが付きました。しかしながら、臨床実習の合間を縫って追加の解析もこなし丁寧に対応していく姿はとても頼もしく、その結果、追加のコメントをもらうことなくそのまま採択に至ったことに驚きはありませんでした。
 この研究内容や手法自体が金澤さんの将来に直接関係することはないかもしれません。それでも、論文発表に至る過程で経験した研究の進め方や論旨の組み立て方などは、金澤さんがどのような道に進んでもいずれ活きてくるものと思います。そしてその先で、未来の医療?医学を担う人材になるものと確信しています。

医学科第6学年 金澤優太さんの受賞コメント

 この度は学長賞を賜り、大変光栄に思っております。第2学年の解剖学実習を通じて形態学に興味を持ってから、人体構造学分野で研究活動に携わらせていただきました。当初は静止画にしか見えなかった組織切片ですが、時を重ねるごとに、立体的で、意味を有し、動きを持った像として捉えられるようになってきました。右も左も分からなかった私に対して、ここまで日々時間を割いて丁寧に指導してくださった表原先生、伊藤先生、教室の先生方には感謝してもしきれません。まだまだ未熟な私ですが、形態から機能を推察することが出来る観察眼を養い、医師として臨床や研究の場で貢献できるように、今後も精進してまいります。

※1:学長賞:本学では、医学部学生が在学中に筆頭著者と して英文原著論文を発表?アクセプトされた場合、または優秀な業績?研究成果を発 表した場合に授与されるもので、学長賞として表彰、賞状および副賞が授与されます。

※2:本学の学生の研究活動支援:本学医学科では、入学時に研究室の紹介がなされ、希望する学生は研究室にて指導教官のもとで研究をすることができます。カリキュラムとしても、基礎医学の講義? 実習と臨床医学が終了した第4学年で、「グループ別自主研究」のコースで、希望する研究テーマを選び、約3週間基礎医学の研究室に所属し、研究者の考え方や方法論などを体験し、研究マインドを育んでいます。また2022年4月からは自由科目として「リサーチ? コース」が導入され、さらに学生の主体的な学びを後押しする体制になっています。

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