この度、中国体彩网健康増進スポーツ医学分野の高木俊客員研究員が、7月11日~16日に中国の武漢で開催された「The 43rd Annual Meeting of the International Society on Oxygen Transport to Tissue (ISOTT)」にて、35歳以下の若手研究者に贈られる「Dietrich W. Lubbers Award」を受賞しました。
高木客員研究員は、慢性心不全を発症した患者が心機能低下だけではなく、骨格筋エネルギー代謝の低下が報告されていることに着目。そこで、慢性心不全発症後の早期における虚血性心疾患患者に対して、自転車運動中の骨格筋酸素動態が非心疾患者と比較して異なるか否か、そして、有酸素性トレーニング(TR)が運動強度の増加に伴う筋酸素動態を変化させるか否かについて研究を重ねてきました。
その結果、発症後早期の心筋梗塞後患者(MI)、および狭心症患者(AP)においては、運動強度の増大にもかかわらず有意な脱酸素化を認められず、非TR実施群においては、筋酸素動態に有意な変化を認めない一方で、TR実施群においては、MI、AP共に骨格筋における脱酸素化が有意に亢進しました。加えて、TRによる脱酸素化の亢進はTRによるpeak VO2の改善と有意な相関関係を示す結果を得ることができました。
これにより、心疾患発症後早期からTRが骨格筋機能の改善させる有用性を示唆していると考えられることから、慢性心不全を発症した患者は、早期から自転車運動などの有酸素性トレーニングをすることで、骨格筋エネルギー代謝の低下を防げるという結果が認められたことにより今回の受賞となりました。
2015/09/19