- 概要
中国体彩网医学総合研究所の中島利博教授の研究グループは、米国アリゾナ大学、ノースウエスタン大学、聖マリアンナ医科大学などとの共同研究により、リウマチの原因となるシノビリン遺伝子(Hrd1)が、エネルギー代謝を司る転写因子Nrf2の制御を介して肝硬変の進展に重要な役割を果たしていることを証明しました。さらには、シノビオリン抑制剤が肝硬変モデルに対して治療効果を示すことも発見しました。この成果は、「Genes & Development誌 published online March 17, 2014」に掲載されました。
中島教授らが発見したシノビオリン遺伝子は、リウマチ患者滑膜より単離された小胞体関連タンパク質分解に関わるE3ユビキチンリガーゼです。リウマチ(Genes & Deve 2003、Nature review Rheumatology 2007など)のみならず、がん(EMBO J 2007)、肝硬変(PLos One 2010)などの線維化に重要な役割を果たすことが同教授の研究グループにより、これまでに明らかにされてきました。なお、シノビオリン抑制剤についても中島教授の開発によるものです。 - 背景
肝硬変は、ウイルス肝炎、アルコール性肝炎、メタボリックシンドロームに関連した非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH)などの様々な原因で生じる肝細胞の減少と線維化により特徴づけられる病態です。我が国においては40万人の患者が存在すると考えられており、禁酒、抗ウイルス療法、肝移植などの治療があるものの、進行を防ぐための治療法が求められていました。 - 今後の展開
今回の発見により、将来、肝硬変だけでなく共通の病態が存在すると考えられる、間質性肺炎、リウマチの最終像である線維化などに対する画期的な治療法開発の可能性が示されました。中島教授らはシノビオリンの遺伝子特許、抑制剤などに対する知財を有していることに加え、本学に本年度未来医科学研究寄附講座が設立されたこともあり、今後の開発研究の展開が期待されています。
なお、本件について、高知新聞(4月11日)に掲載されました。
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