
主任教授
浦松 雅史
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概要
医療の質?安全管理学分野は、医療現場で起こるさまざまな事象を「実践の科学」として捉え、学術的なアプローチで解決を目指す社会医学系分野です。私たちは、目の前の出来事を単なる個別事例として終わらせません。それらを社会的?組織的な文脈から紐解き、理論化?一般化することで、時代や場所を問わず「安全で信頼される医療」を実現するための知の体系を構築することを目指しています。
当分野の強みは、中国体彩网病院の医療安全管理室等と密接に連携した「フィールドの近さ」にあります 。インシデント報告や患者の声、日常の診療プロセスの中に潜む課題を可視化し、ヒューマンファクター、チーム医療、ノンテクニカルスキル、安全文化といった多角的な視点から分析します。単なる改善策の提示にとどまらず、背景にある構造的要因を解明することで、医療現場へ真に還元可能な、強固な理論的基盤を持つ知見の創出を目指しています 。
医療の質やその安全に関する学びには、医学?看護学の知識だけでなく、法学、社会学、工学、情報学、心理学など、様々な分野の知識と知恵が必要です 。大学院では、多様な背景を持つ社会人や研究者が集い、互いの専門性を尊重しながら、医療を取り巻く制度や文化を俯瞰する視点を養っています。理論と実証を往還しながら、次世代の医療の質と安全をリードする実践者?研究者として、皆さんが本分野に参画されることを歓迎します。
教育内容
主な研究領域(研究内容)
- 医療事故発生メカニズムの解明と再発防止戦略の構築
- チーム医療およびノンテクニカルスキルに関する実証研究
- 医療事故後対応および透明性確保に関する制度?実践研究
- 患者視点を取り入れた医療の質評価および改善モデルの開発
- 医療安全文化および組織マネジメントの理論化と定量評価
- 医療安全教育の体系化と教育効果の検証
- 医療提供プロセスの分析に基づく安全設計
- 医療機関内外における安全確保のための情報共有?連携モデルの構築
- 医療安全に関するデータ活用基盤および新技術の応用研究
大学院医学研究科について
担当科目名名称
医療の質?安全管理学
講義概要
本講義では、システムアプローチ、ヒューマンファクター、Quality Improvement(QI)、リスクマネジメントといった国際標準の理論を基盤とし、医療現場で生じる事象を学術的課題へと昇華させる手法を学びます 。経験則に頼りがちな臨床医学の知見を「安全」と「質」の視点から再解釈し、診療プロセスと転帰(アウトカム)の因果関係を構造的に分析する、高度な思考力を養います 。
研究においては、インシデント報告や患者相談、診療記録といった多様な実データをフルに活用します 。量的研究による実証だけでなく、質的研究法やプロセスマッピングを用いて医療提供の裏側を可視化し、患者の経験全体を俯瞰しデザインする視点を修得します 。この探究プロセスは、急性期医療の安全設計から、慢性疾患の管理、服薬アドヒアランス、そして「ペイシェントジャーニー(患者の旅路)」の分析まで、広範なテーマに応用可能です 。
私たちは、医療の質と安全は、単一の専門性だけで完結するものではないと考えています。臨床医、看護師、薬剤師などの医療専門職はもちろん、法学、社会学、工学?情報学?心理学など、異なるバックグラウンドを持つ研究者との学際的な対話を重視しています 。理論と実証を自在に行き来し、組織や文化にまで踏み込んで医療をデザインできる、真の実践者?研究者の育成を目指しています 。
