【医学科】海外臨床実習

本学医学科では、第6学年の診療参加型選択臨床実習 (*) の一貫として、4月の1カ月間、本学が学生交流を締結している海外の施設での臨床実習を選択することができます。海外臨床実習は、毎年5年次に募集があり、英語面接、共通試験の成績、TOEFL iBTスコアなどから総合的に選考されます。選考された学生は、自由な学び系科目「海外臨床実習コミュニケーション」で事前学修を行い渡航します。帰国後は学内の医学会総会にて、英語による留学報告を行います。毎年、TOEFL iBTの対策講座が開催され、応募前から帰国後まで一貫した学修?留学支援を行っています。2025年度は20名の学生が海外臨床実習に参加しました(9ヶ国12施設)

(海外臨床実習についての詳細は、国際交流支援室HPをご覧ください)

診療参加型選択臨床実習第5学年の1月~第6学年の7月までの間に希望する診療科で1ヶ月ずつ実習を行います。診療チームに参加し、その一員として診療業務を分担し、将来どの診療科の医師になるとしても最低限必要な医学知識?臨床推論法?技能?態度などの能力を実践的に身につけます。

<留学報告(医学科第6学年:2025年度実績)

【留学先】高雄医学大学(台湾)

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 高雄醫學大學(KMU)での4週間の臨床実習は、医学的知見を深めるだけでなく、将来のキャリアを考える上で極めて貴重な経験となりました。心臓血管外科と一般外科での実習に参加し、英語での質問や症例プレゼンを積極的に行い、日々の回診や手術に臨みました。
 この実習で最も印象的だったのは、副院長の戴嘉言先生にご同行した先住民族が暮らす農村地域への訪問診療です。訪問の際、先生からKMUが医療資源の限られた地域で主導するC型肝炎排除プロジェクトについて伺いました。全住民を対象とした戸別訪問、超音波検査、抗ウイルス薬の配布と服薬指導をチームで行い、高雄市桃源区では全住民1,092名のスクリーニング率100%を達成、治療患者の95.7%がウイルス排除に成功したとのことでした。このような取り組みを知り、医療は単に治療に留まらず、生活?文化に寄り添いながら、地域社会全体を巻き込んで健康を支えていくものであると実感しました。日本の地域医療課題を意識している私にとって、KMUチームが農村訪問で信頼関係を築き、医療アクセスを支えている姿は、医療格差解消に向けた貴重な示唆となりました。
 学業以外では、1か月間バレーボール部に参加し、多くの仲間と交流を深めました。そこで築いた友情は、今後も続く貴重な財産となると感じています。この留学を通じて得た知識と経験、特に地域医療への深い洞察を活かし、国際的な視野を持ちながらも、地域にも貢献できる医師を目指して努力を続けていきます。

【留学先】ペーチ大学(ハンガリー)

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 ハンガリーのペーチ大学にて、産婦人科と一般外科で1か月間の臨床実習に参加しました。

 実習には決まったスケジュールがなく、開始早々「あなたは何がしたいの?」と問われ、答えに詰まりました。英語での意思疎通に苦労する場面も多く、待っていては何も得られないという危機感と異国での孤独を痛感しました。

 打開策として、まずは自分から名乗り、握手を交わすところから積極的に関わるよう努めました。産婦人科では複数の手術室を回り、温かく迎えてくださる指導医に出会えました。一般外科では毎日異なる手術に助手として入り、カメラ操作や縫合も経験させていただきました。日本語でも経験の浅い操作を英語で行う不安はありましたが、事前に手順や関連語句を調べ、疑問点を整理して臨むうちに、少しずつ役割を任され、チームの一員であることを実感しました。

 実習中の苦戦とは対照的に、寮では様々な国の学生との交流が支えとなりました。共用キッチンでチャイやスープをご馳走になりながら語り合うことで、良い気分転換ができました。また、互いへの敬意があれば、言葉や文化の違いも乗り越えられるのだと改めて思いました。

 今回の留学では、主体的に動くことの重要性を学ぶ一方で、初めて外国人としての孤独も経験しました。だからこそ、人とのつながりの温かさを改めて実感しました。この経験を胸に、多様な背景を持つ人々に寄り添い、支えとなれる医師を目指していきたいと考えています。このような貴重な機会をくださった関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

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