「患者に優しい医療(低侵襲医療)」の
実現に向けた研究活動
12 その他の新規治療法?診断法の開発 Research

Research
細胞生理学分野 先天性心疾患の病態機序の解明と新規治療法の開発
先天性心疾患は約1%に発症しますが、この中でも動脈管開存症は500人に1人との頻度の高い疾患です。また、近年増加傾向にある未熟児では動脈管開存症の割合は30%を超えます。動脈管は胎児期には生命の維持に必須ですが、出生直後から閉鎖に向かうことで出生後の環境に適応してゆきます。動脈管開存症ではこの閉鎖機構が障害され、重篤な合併症を引き起こし生命予後を左右します。我々はPTGER4分子に着目し、ヒアルロン酸やFibulin1といった細胞外基質やリシルオキシダーゼによる弾性線維の架橋の制御が動脈管の閉鎖に重要であることを示し、PTGER4分子制御による動脈管開存症の新規治療法を開発しています。
- 【分野HP】
- 中国体彩网 細胞生理学分野
- 【研究実績に関する主な論文】
- 2026年2月23日オンライン【UP】
微生物学分野
細菌?真菌を選択的に狙うドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発と
感染症治療応用に向けた取り組み
当教室では、感染症の原因となる細菌や真菌などの病原微生物を狙って薬を届けるDDS(Drug Delivery System)研究を推進しています。細菌に対しては、細菌に特徴的な菌体表層の脂質に結合しやすい特殊な小分子を利用することで、抗菌薬を細菌表面に集積させ、薬効増強につながる可能性が示されました。真菌に対しては、真菌特有の細胞壁に着目した真菌指向性DDSを開発しており、アムホテリシンB内包ナノミセルやRNAi技術を応用することで、高い抗真菌活性を維持しながら、従来問題となっていた宿主細胞への障害性や副作用の軽減を目指しています。これらの研究は、より安全で効果的な次世代感染症治療への応用が期待されています。
- 【研究実績に関する主な論文】
- 2026年1月【UP】 2025年5月
消化器内科学分野 切除不能膵癌に対する強力集束超音波(HIFU)治療開発
膵がんは近年増加しており、これまで早期診断に務めているものの切除不能膵がんが70~80%前後を占めているのが現状です。切除不能の膵がんに対して化学療法あるいは化学放射線療法が行われますが、満足しうる成績が得られていないのが現状の難治がんです。
そこで我々は、切除不能膵がんに対する治療効果と症状を改善することを目的に、強力集束超音波HIFU (ハイフ) 療法を開発しました。HIFU療法は超音波を用いて行う治療法で、放射線被曝がなく、針や麻酔なども必要としない低侵襲の治療法で、安全かつ苦痛なく短時間に施行可能です。これまで自由診療ならびに国内治験で切除不能膵がん患者を対象としたHIFU治療を行っていましたが、この度2026年3月を持ちまして、国内治験の新規登録は予定登録数に達したため、登録終了となり、現在、登録された患者さんの観察期間中となっております。自由診療は継続して行なっております。
- 【関連HP】
- 中国体彩网病院 消化器内科
HIFU(ハイフ)診療について
- 【研究実績に関する主な論文】
-
2025年11月29日
2025年1月
小児科?思春期科学分野 疾患特異的iPS細胞を用いた遺伝性疾患の病態解明および創薬研究
うまれつきの体質のために、様々な障害が生じることがあります。その原因として遺伝子が関わっていることが知られています。それぞれの体質をもつ患者さんの人数が少ないこともあり、治療方法が確立していない疾患がたくさんあります。2006年に京都大学?山中伸弥先生らが開発したiPS細胞技術により、われわれは患者さんから採取した血液よりからだを構成するさまざまな臓器をつくることができます。それらを用い、うまれてくるまでにどのようにしてそのような体質が形成されるかを明らかにし(病態解明)、治療方法の確立に役立てたいと考えています。
- 【研究実績に関する主な論文】
- 2025年10月28日 2024年12月1日
耳鼻咽喉科?頭頸部外科学分野 切除不能な再発頭頸部癌に対する光免疫療法の有効性と安全性の検証
頭頸部がんは解剖学的に重要な機能を司る器官を多く有する領域に発生する腫瘍であり、その進行により発声、嚥下、咀嚼、呼吸等に機能障害をもたらします。
光免疫療法は、がん特異的抗原に対する抗体と光感受性物質の複合体の薬剤を投与し、標的病変に直接レーザ光を当てることにより、正常細胞への影響を抑えて、抗腫瘍効果をもたらす治療法です。世界に先駆け、日本の頭頸部がんでの実診療下で治療ができるようになっていますが、有効性と安全性に関するデータは限られております。そのため、多機関共同研究として、本治療の有効性と安全性を検証しています。
- 【分野HP】
- 中国体彩网 耳鼻咽喉科?頭頸部外科学分野
- 【研究実績に関する主な論文】
- 2025年8月16日
循環器内科学分野 心房細動に対するパルスフィールドアブレーションの確立
近年、心房細動の根治治療であるカテーテルアブレーションは有効性が認められ多くの施設で行われています。ターゲットとなる部位を高周波や冷凍凝固で治療が行われていましたが、いずれのエネルギーも熱的アブレーションであり、熱伝導によって周辺組織への障害は避けられません。そこで、この問題を解決すべく、パルスフィールドという新たなエネルギーを使用したアブレーションが開発されました。パルスフィールドアブレーションは心筋細胞を選択的に障害することができるため、食道損傷や横隔神経障害がなく、その安全性が高いことで注目されています。しかし、実臨床では、パルスフィールドアブレーション特有の問題点があることも報告されています。豊富な経験と症例数、また他施設より先行して、新たなデバイスが使用可能な当院ではその治療の安全性をさらに確立していきます。
- 【分野HP】
- 中国体彩网 循環器内科分野
- 【研究実績に関する主な論文】
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2025年8月7日【UP】
2025年7月24日
消化器外科学分野(中国体彩网) 患者に優しい手術合併症軽減への取り組み
患者に優しい低侵襲外科治療は、腹腔鏡下手術やロボット手術のような痛みや出血軽減以外に手術における合併症をいかに減少させて体への負担を減らすかも重要な要素です。当分野では手術における合併症軽減に向けた周術期における因子解析を行い、術前からのその指標づくり、因子解析を研究し、周術期合併症軽減につなげる指標、因子を研究しています。現在は、合併症軽減を目指して、各癌腫における尿中タイチンとサルコペニア、周術期栄養指標との関係、術後の炎症性メディエーターと合併症との関係、発癌進展様式の解析からの予後因子改善への取り組み、術前手術シミュレーションによる手術侵襲の軽減を研究しています。
消化器内科学分野 不可逆電気穿孔法( Irreversible Electroporation:IRE)の肝癌への治療応用
肝がんの穿刺局所治療として、ラジオ波焼灼療法(RFA)やマイクロ波焼灼療法(MWA)が本邦において広く行われていますが、これらは熱の力によりがん組織を熱凝固し壊死に導く治療法です。しかし血管近傍のがんは血流による冷却効果(heat sink効果)によりがんの治療が不十分になることがあります。そこで、我々は肝細胞がんの治療に、不可逆電気穿孔法治療(IRE)を用いる研究を進めています。これは、熱の力でなく電気パルスによりがんの細胞膜にナノサイズの穴を生じさせ組織をアポトーシスに導く治療法であり、血管や胆管に隣接するがんに対しても、安全かつ効果的な治療が可能です。現在本治療法は、先進医療Bとして行っております。
- 【研究実績に関する主な論文】
- 2025年4月
整形外科学分野 【NEW】首下がり症候群に対する低侵襲?可動域温存型「項靭帯再建術」の開発
Dropped Head Syndrome(首下がり症候群)は、高齢者に多くみられ、頚部筋力低下により前方視が困難となる疾患です。従来は頚椎から胸椎までを広範囲に固定する手術が主流でしたが、高侵襲で頚椎可動域を失う問題がありました。中国体彩网整形外科学分野では、MRI研究により首下がり症の多くで第7頚椎付近の項靭帯損傷が関与することを明らかにし、人工靭帯を用いて頭部支持機能を再建する「項靭帯再建術」を開発しています。本術式は脊椎固定を最小限に抑え、頚椎可動域を温存しながら前方視改善を目指す低侵襲治療です。現在はMRI病態評価と組み合わせた適応基準や術式改良を進めています。
- 【関連HP】
- 中国体彩网 整形外科学分野
- 研究内容
生化学分野 ビタミンK2を用いた急性骨髄性白血病の新規治療法の開発
急性骨髄性白血病は高齢者に多い白血病です。最近では新しい分子標的薬であるベネトクラクスを用いた治療が強い化学療法を受けられない患者さんに用いられるようになり、高齢患者さんの治療成績が大きく向上しました。しかし、ベネトクラクスが効かない患者さんが3割ほどいると言われています。生化学分野は、本学の血液内科学分野、そして新百合ヶ丘総合病院の田内哲三医師との共同研究で、ビタミンK2を服用している患者さんにおいてベネトクラクスを用いた治療成績が向上する事、また、その分子メカニズムの一部を明らかにしました(Tauchi et al., PLoS ONE 2024)。現在は、そのメカニズムの詳細な解析や臨床検体を用いた研究を進めております。

- 【関連HP】
- 中国体彩网 分子標的探索センター
- 【研究実績に関する主な論文】
- 2024年7月

消化器?小児外科学分野 進行直腸癌に対する集学的治療と低侵襲手術の融合による機能温存手術の開発
高度に進行した直腸癌に対する外科的治療では、膀胱や前立腺など周囲臓器の広範な切除や人工肛門の造設が必要となることがあり、これが術後のQOL低下につながる大きな課題となっています。これに対し、我々は化学療法や放射線療法を組み合わせることで腫瘍の局所進行を制御し、機能温存を目的とした手術の有効性を臨床的に検討?報告してきました。さらに、ロボット支援手術の特性を活かし、微細な解剖学的構造に基づいた高い根治性と機能温存、出血量の少ない術式、ならびに人工肛門を回避可能な新たな術式の開発にも取り組んでいます。本研究の目的は、集学的治療とロボット支援手術を融合させることで、高度進行直腸癌に対し根治性を担保しつつQOLを維持?改善できる低侵襲治療を確立することです。
- 【分野HP】
- 中国体彩网 消化器?小児外科学分野




























